都心のパーソナルジムへの提言 Web戦略から考えるアプローチ

今回の記事は、私たちLEMITHが「戦略を立案するまで」をテーマにお届けいたします。戦略立案に至るまで、どのように分析し、その結果をどう抽出し、どうやって利用するのかを仮想顧客を想定し具体的に提示していきます。 想定モデル 顧客:マンツーマンレッスンが強みの赤坂にあるパーソナルジム 所在地の特徴:赤坂は都心部に位置し、多くのビジネスパーソンや都会的な居住者が集まるエリアである。大手企業や金融機関、外国大使館などが立地しているため高所得者層が多い。ビジネス街として有名なだけでなく、都心部の中でも有数な高級住宅街として知られている。そのため、安全で静かな環境を求める裕福な人々に人気がある。文化や芸術への関心も非常に高く、美術館や劇場などのエンターテイメントが豊富である。高所得者やビジネスパーソンは多忙なライフスタイルを送る傾向が強い。時間的制約はある一方で、健康やフィットネスに対する期待や関心は非常に高い。 前提条件 フィットネス業界の市場変化:(Fitness Businessより)https://business.fitnessclub.jp/articles/-/1736#:~:text=Fitness%20Business%E7%B7%A8%E9%9B%86%E9%83%A8%E3%81%AF,%EF%BC%85%E3%81%A8%E5%85%AC%E9%96%8B%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%80%82 フィットネス市場は2012年から継続して伸びており、2019年の市場規模はおよそ4,939億円とほぼ5,000億円にまで達し、業界史上最高値を更新したが、2020年、コロナ禍の影響を受け、市場規模はおよそ前年対比35%減となってしまった。しかし、コロナの収束とともに徐々に回復してきている。 2022年には4500億を突破しており、コロナ以前の水準まであと一歩のところまで回復しており、さらなる市場規模の拡大が見込まれる。 市場拡大の下地:(Fitness Businessより)https://business.fitnessclub.jp/articles/-/28 日本のフィットネスクラブ数、会員数はまだまだアメリカやイギリスといった国には劣っている。国民のフィットネスクラブへの参加率に注目すると、日本が3-4%台を推移しているのに対し、アメリカ20%弱、イギリスは14-15%台で推移している。フィットネス業界の先頭を走るアメリカの20%目前の数字には驚かされるが、それにしても日本の参加率の低調度合いが顕著である。先進諸国の平均でも10%前後で推移しているので、日本のフィットネスクラブには成長の余地がある。 健康志向の高まり:(矢野経済研究所より)https://release.nikkei.co.jp/attach/653267/01_202304141442.pdf 健康への意識が年々高まっていたところに新型コロナの流行が拍車をかけ、さらなる意識改革が行われた。コロナの影響(2020年~)によって経済活動が減少していたことは周知の事実だが、その際も健康食品の市場規模は影響を受けていないことがわかる。大きな伸び率ではないことは確かだが、確実に規模を拡大している。 健康寿命延伸への取り組み:(厚生労働省より)https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html 身体活動量が多い者や、運動をよく行っている者は、総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いこと、また、身体活動や運動が、メンタルヘルスや生活の質の改善に効果をもたらすことが認められている。更に高齢者においても歩行など日常生活における身体活動が、寝たきりや死亡を減少させる効果のあることが示されている。 以上は、厚生労働省のサイトから引用した一部分だが、政府が運動習慣を促進させようとする姿勢がわかる。そもそも健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことである。普段通りの日常生活を送ることができるかが指針となる。2019年時点で、男性が72歳、女性が75歳となっている。平均寿命が男性で81歳、女性で87歳なので、それぞれ9年と12年の差がある。この差をなるべく小さくしていくことが健康寿命延伸の取り組みである。そのためには、筋力低下によるケガや寝たきりといった要介護者にならないことが重要である。
平均寿命と健康寿命
以上の前提条件を考慮すると、ビジネスモデルに可能性を見出すことができた。ここからはさらに具体化するため、想定モデルの中からペルソナを設定し分析をしていく。 ペルソナ⇒40~50代の男性、経済的余裕はあるが時間的余裕がない。健康への意識は高め。赤坂にオフィスがある。 まず初めにジム所在地の赤坂に関して市場分析を行う。 1. ターゲット市場の分析: – 赤坂にはペルソナに設定した人物に類似した属性の方々が多く集まる。 – また、競合も多く、パーソナルジムが点在している。 – テナントの競合も多い。家賃も高い。(今回は出店済みのため割愛) 2. 顧客ニーズの理解: – 健康志向は高所得者層の割合が高いので、赤坂の住民や通勤者のフィットネスに関するニーズや要望を把握する。 – 忙しいビジネスパーソン向けの時間効率的なトレーニングプログラムや、健康増進を重視する層向けのバランスの取れたトレーニングプランの作成。 ‐ トレーニングだけではなく、日々の食生活の指導と管理、プロテインなどの栄養補助剤の摂取タイミングのレクチャーなどがあげられる。 3. 施設の設計と装備: – ジムの施設設計は、使いやすさと機能性を重視する。十分なスペースと各種のトレーニング機器が揃っていることが重要視。 – 最新のトレーニング機器やテクノロジーを導入し、顧客がより効果的なトレーニングを行えるようにする。 4. サービスの特徴: – パーソナルトレーナーとの個別指導やカスタマイズされたトレーニングプランの提供など、他のジムとの差別化を図る。 – 出社前や出社後トレーニングやランチタイムの間に、急いでいる顧客向けのスピードセッションなど、ニーズに合わせたサービスを展開する。 5. マーケティング戦略: – SNSを活用(特にInstagram)して、ジムの存在を広く知らせます。 – 初回無料体験セッションや友達紹介プログラムなどのプロモーションを実施し、新規顧客の獲得を図る。 ‐ 体の数値データを用いて、筋力アップトレーニングコンテストなどを実施して、表彰や割引、特典付与などを行う。 マーケティングツールの活用 マーケティングツールを用いて多角的な視点で整理する。 3C分析: – Customer (顧客): 赤坂に住む高所得者やビジネスパーソンなど、健康志向の顧客が主なターゲットになる。都心部に位置するため、時間の制約がある顧客も多い。 – Company (企業): パーソナルジムは、高品質のトレーニングサービスや個別指導、充実した設備を提供することで競争力を持つ。また、ロケーションや施設の設計なども重要。 – Competitor (競合他社): 赤坂周辺にはフィットネスクラブやパーソナルトレーニングジムが存在します。競合他社の強みや弱み、提供するサービス内容や価格帯を把握することが必要です。 PEST分析: – Political (政治): 政府の規制や健康政策がジム業界に与える影響を考慮します。例えば、健康促進キャンペーンや税制の変化などが影響を与える可能性があります。 – Economic (経済): 赤坂は都心部に位置し、高所得者が多い地域です。経済的な安定性や消費者の購買力を考慮し、ジムの価格設定やサービス内容を調整します。 – Social (社会): 健康志向の高まりやフィットネスへの関心の高まりなど、社会のトレンドを把握し、それに合わせたサービスを提供します。 – Technological (技術): 最新のトレーニング機器やテクノロジーを活用し、顧客に効果的なトレーニング体験を提供します。 SWOT分析: – Strengths (強み): 個別指導やカスタマイズされたトレーニングプラン、高品質な施設と設備など、他ジムとの差別化ポイントがあります。 – Weaknesses (弱み): 新規オープンのため、ブランド認知度が低いことや、競合他社と比べて施設規模や資金力が不足している可能性があります。 – Opportunities (機会): 赤坂の高所得者層やビジネスパーソン向けにニーズに合ったサービスを提供する機会があります。また、健康志向の高まりや都心部の人口増加などが市場拡大の機会となります。 – Threats (脅威): 競合他社の存在や、政府の規制、経済的な不確実性などが脅威となります。 ファイブフォース分析: 新規参入の脅威: – 赤坂周辺には既存のジムやフィットネスクラブが多く存在していますが、新しいジムが市場に参入する可能性もあります。特に、高所得者が多く住むエリアであるため、市場への新規参入を狙う競合が存在するでしょう。 代替品の脅威: – 赤坂において、ジムやフィットネスクラブ以外の代替品も競争要因となり得ます。例えば、個別のパーソナルトレーニングやヨガスタジオ、自宅でのトレーニングなどがあります。これらの代替品が顧客の需要を吸収する可能性があります。 顧客の交渉力: – 赤坂周辺には高所得者層が多く、彼らの顧客交渉力が高い可能性があります。顧客が利用するジムやフィットネスクラブの選択肢が豊富な場合、価格やサービス条件について積極的に交渉することが考えられます。また、高所得者は価値提供にシビアの傾向が強いため、満足度を高められないと他店に流れるリスクが通常より高まる。 供給業者の交渉力: – ジムやフィットネスクラブに必要な設備や器具、サプリメントなどの供給業者の交渉力も重要です。特に、高品質な設備やサプリメントを提供する信頼できるサプライヤーとの関係を築くことが必要です。 既存競合の脅威: – 赤坂周辺には既に多くのジムやフィットネスクラブが存在しており、これらの競合が市場でのシェアを競い合っています。特に、既存競合が高品質なサービスや設備を提供し、顧客のロイヤルティを獲得している場合、新規参入者にとって競争は激しいものになるでしょう。差別化するポイントを見極める必要がある。     Webサイトの有効活用指南 Webサイトを評価するには2つの指標が重要である。それは流入数と滞在時間だ。 ①流入数=クリックしてサイトに入ってくる数 ②滞在時間=サイト内に滞在している時間 上記を満たしているサイトにすることができればWebサイトを運営するメリットを最大限享受できるだろう。そのための第一歩としてWeb広告を選択することが割と一般的である。 もっと踏み込んだ話をすると①流入数と②滞在時間のそれぞれに効果を発揮するためには、流入までの適切な広告選定と、流入後ユーザーに対して課題解決に繋がる内容をしっかり訴求する必要がある。 WEB広告とWEBサイトは一体であるため、その両方をしっかりと設計する必要がある。 たとえば、「脱毛 男性 原宿」などで検索した際に、エステの広告などが散見されるが、ユーザーニーズ(検索語句)に対して、適切にマッチしていない、確度の低い広告を出すことはユーザーの解決にもならなければ、①流入数と②滞在時間の向上を意識したものでもないため、WEBからの申し込みは期待できない設計になる。 そのため、検索語句を初めとして、各広告媒体ごとのユーザーの性質や訴求力などを考慮しながら、自社商材のマッチ度が高い広告戦略(WEB広告+WEBサイト設計)を組む必要がある。 それでは、流入を適切に増加させるうえで、広告の種類について触れていく。 Web広告の種類 ・SNS広告 ・ディスプレイ広告 ・リスティング広告 ・アフィリエイト広告 それぞれにメリット・デメリットがあり、今回の想定ケースでも効果を期待できるものもあるが、その取捨選択はかなり慎重に精査する必要がある。 広告は有効な手段のひとつであることは変わりないのだが、きっかけに過ぎない点を留意しておかないとサイト自体の質とのギャップで必要以上にマイナスイメージを引き起こす可能性がある。①の流入数にのみ気を取られることは得策ではない。せっかくの流入がすぐに離脱してしまうと意味がない。 WEBサイト設計戦略 これまでの情報を基に、Webサイトの方向性を決定する。想定したペルソナに向けて訴求力の高いサイトを構築できるようにデザインする。※本記事内では私たちLEMITHのデザインをお見せすることはないので、LEMITHが制作するWebサイトがどんなものか興味がある方は制作実績にて確認いただければ幸いです。以下URL サイト内コンテンツの充実 では反対に②の滞在時間へのアプローチに有効なのが、サイト内にコンテンツを充実させることである。コンテンツとは記事や写真、SNS連携etcといったものだ。サイト内の情報を多くすることでユーザーが閲覧する時間が必然的に多くなることを狙っている。ここでの留意点は先ほどの広告とは逆で、サイトへ訪問するユーザーがいなければ、見られることもない点である。せっかく見ごたえのあるWebサイトを作ったところで見に来る人がいなければ意味がない。 課題解決案の選定 今回のケースではパーソナルジムを赤坂で運営中のお客様を想定しているので、予算面での制限があることを念頭に課題解決を図る。Web広告をある程度の期間打ち続けるには資金的に厳しいと判断した。コンテンツに焦点を当ててサイト内の充実を図りながら、少しでも流入につなげられるように思案する。 記事投稿の優位性 コンテンツの充実を図る上で、テキストベースの情報をサイト内に組み込むことは非常に有効である。記事というとわかりづらいかもしれないが、要はブログを運営するということだ。サイト内に記事を投稿することでコンテンツが充実していることを検索エンジン(Google様etc)にアピールする。うまくアピールできれば検索結果の表示順が上位になり流入数UPにつながるだろう。ただ、ここでの記事にはひと工夫が必要である。その工夫とは、SEOを考慮した記事を作成することである。これがなかなか厄介ではあるが、考慮できるかどうかで雲泥の差が出てしまうので必須の工夫である。SEOを簡単に説明すると、検索エンジンが検索結果を表示する際に、表示順を決定している評価基準(アルゴリズム)のことだ。評価基準も内部で変更があるため、若干のトレンドが発生する。以上を押さえた記事を投稿することで流入数をあきらめずに、滞在時間へのアプローチが可能だと考える。 自動記事投稿の可能性 SEOを考慮した記事を作成し投稿するにはかなりの労力が必要になる。自分で記事を作成することも有効な手段には変わりないが、本業への負担を考えると無視できない。SEO対策を専門業者に依頼することが最も効果を得やすいが、SEOが強い業者はコストがかさむ場合がほとんどである。パーソナルジムを小規模で運営しているビジネスではあまりに負担が大きい。最近ではAIを利用した記事生成サービスが生まれてるので、そういったテクノロジーに頼るのも有効な手段といえる。通常通りにSEO対策するより遥かに低コストで実施できる。私たちLEMITHにも類似サービス(虎の手)があるので、そちらを適用するか確認する。 ※本記事ではLEMITHサービスの虎の手に関して割愛するが、是非一度覗いてみてほしい。SEOへの予算がない企業様にもおすすめできる価格です。以下URL LEMITHの提案 私たちが今回のケースでご提案することは以上です。 赤坂でパーソナルジムを運営する会社又は個人事業主さんに対して、無駄にコストをかけることは避け、なるべく効果スピードが見込めるものを中心に選択してまいりました。特にサイト内のコンテンツを充実させるためにはなにをして、なにをしないのかを重点的に考え進めてまいりました。正解かどうかは実際に動いて見なければわからないことも大いにありますが、アフターフォロー体制を万全にして、その都度改善をかけられるようにしております。 最後に 私たちが今回のようなケースに遭遇した場合の流れをここまで示してまいりました。私たちはご相談された段階で、どのような状況に置かれているかをリサーチして、どうしたらより良い方向に進んでいけるかを思案しながらご提案と制作を進めてまいります。置かれている状況は、当たり前ですが千差万別であり、さまざまな条件の下で最適解を導けるように格闘しております。ここまでお読みくださった方々には、より具体的なご提案を制作実績をお見せしながら打ち合わせいたします。是非お気軽にお問い合わせください。